「Hearts of Iron IV」開発日記2018年7月4日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はイギリスについて。長め。
前回:開発日記2018年6月27日――燃料(と1.5.4について)
概要
開発日記2018年7月4日は、イギリスについて。今回はコンテンツデザイナーのBratyn氏によるものです。
- われわれのかわいそうなプログラマーたちは燃料について奴隷のように働く一方で、私たちコンテンツデザイナーは新たな方針ツリーの作業で忙しくしている。いつもどおり私たちは品質管理担当にベースとなる方針ツリーのフィードバックを頼み、ほとんどの不満は次の2点に集約された。
- 世界の緊張度に制約されすぎている。多くの方針が緊張度によってロックされている。
- 史実と異なる展開がない。
- 実質的な構造自体は悪くないと感じられたため、日本のツリーほどの大規模な見直しは必要なかった。ベースとなるツリーの多くの部分はそのままで、細かなことを追加変更した一方で、史実と異なる展開に集中した。ドイツや日本のツリーと同様、ベースとなるツリーは無料だが、史実と異なる展開は有料だ。
再軍備
- 第一に、再軍備ルートにはいくらか変更や追加が必要だと感じていた。例えば自動車化師団のテンプレートを得るだけの「陸軍の自動車化」をイギリスはとらなければならないという点に大きな不満があった。これはイギリスはスタート時から自動車化師団のテンプレートを持つようにし、かわりに自動車化歩兵研究に50%のボーナスをつけるようにした。
- さらに「本格的再軍備」の新たな2つの方針はイギリスの有名な戦争の側面を拡張する。すなわち「特殊空挺部隊(the Special Air Service)」と「参謀総長会議(the Chiefs of Staff Committee)」だ。前者はさらに特殊部隊を編成できるようになり、また「特殊戦(天才)」の特性を持つデイヴィッド・スターリング(David Stirling)がアドバイザーとしてアンロックされる。後者は陸海空軍の経験値と、指揮力上限、指揮力増加速度、計画速度にボーナスが付く国民精神を獲得する。
帝国
- 帝国ルートでは、「海外勤務」の方針がパッとしないように感じたので、酷暑順化倍率+10%の国民精神を追加した。加えて、イラン・イラクの確保とソ連との戦争ルートは完全に異なるものになった(後述)。
- さらに、「帝国の強化」は相互排他の選択となり、もうひとつの選択肢は植民地政策の見直しから成る。このルートはイギリス政府が史実よりも脱植民地化により従順であったという「仮定の場合」を表現している。
- 自治領の完全な独立を導くルートには宗教によってインドを分割する選択肢がある。そうしないことで独立のプロセスは加速するが、亜大陸内での内戦につながる。植民地時代の後に強力なインドを作りたいなら、これは選択肢にはならない。もうひとつのルートはすべての海外領土(北アイルランド、ジブラルタル、香港、フォークランド)を返還するものだ。こうした方針は政治力と人的資源をもたらすが、これは植民地政府をなだめ、脱植民地化した祖国よりもイギリスによりよい未来があると考える人々の移民を表現している。
イデオロギー
- 複数の民主主義ルートと他のイデオロギーのルートの違いは、新しく短い相互排他の方針だ。「宜候(Steady as She Goes)」以降のルートでは、史実のような本国の防衛と宥和政策をとるか、とらえどころのない「われらが時代の平和」を得るために死力を尽くすかという選択肢がある。
民主主義
- 前者にはそれほど大きな変更はない。上で述べたイラン・イラクの確保とソ連との戦争ルートは帝国ルートからこちらに移った。またプレイヤーが民主主義を選びたくなるインセンティブとして「不可避の事態への備え(Prepare for the Inevitable)」という方針を追加した。これは恒久的に軍需工場建設速度が10%上昇し、工場出力が5%増加する。しかしこのルートは依然として今と同じく世界の緊張度に制限される。
- 民主主義のイギリスにおける史実でないルートは、宥和政策を続けなかったらというものだ。最初の方針は本国の防衛よりも帝国の地位を維持しようとするもので、「内閣不信任決議(Motion of no confidence)」につながる。これにはネヴィル・チェンバレンが国家指導者である必要があるが、これによってチャーチルに交代する。「さらなる融和策の断念(No Further Appeasement)」はイギリスに対してゲームルールを変更する。民主主義国に対する戦争の正当化、傀儡国家の作成、義勇軍の派遣が可能になり、戦争目標作成・陣営参加などについての緊張度制限が緩和される。これによって他の方針の緊張度についての制約も無視できるようになり、より早い軍拡が可能になる。あらゆる点でいいように聞こえるが、これは安定度が大きく低下し、戦争協力度も上昇しないし、プレイヤーが得るいくらかの工場では本国防衛ルートで得る恒久的な建設・生産速度ボーナスと比べると一般にずっと弱い。
- その後、イギリスは機先を制してワシントン海軍軍縮条約に従わない、あるいはイギリスの海上支配を脅かす国家に介入するか、それともヨーロッパ大陸で急速に伸長している国家を先制攻撃するかという選択肢がある。その横の補足的なルートでは軍需工場を獲得し、中東・ベネズエラからの石油輸入を確保し、また本国防衛ルートと共有の「ソ連との戦争(War with the USSR)」ルートにもつながる。
君主主義
- 「針路の変更(A Change in Course)」は異なるイデオロギー3つにつながる。第一は「国王の政党(The King’s Party)」で、これは36年半ばに発生するイベントチェインを経なければ選択できない。エドワード8世がウォリス・シンプソンと結婚しようとし、これが立憲上の危機を引き起こして史実では36年12月10日にエドワード8世が退位するが、ここでプレイヤーがどの道を選ぶかによる。
- 退位を選択すればこれまでと変わりないが、結婚を強行する(ウォリス・シンプソンが王妃となる)か、貴賤結婚(シンプソンは配偶者となるが、その子供は継承順位から排除される)とする場合は200日にわたる長期のイベントチェインが始まる(利便性のためにミッションも用意される)。
- 関係者、国民、メディアが結婚に賛成か反対かというランダムイベントが発生し、ランダムに安定度が上下し、政治力にボーナスやペナルティがつき、イデオロギーも変動する。さらに「メイン」イベントが50日ごとに発生する。これは国王の結婚に対する賛否の拡大を表現し、悪くすれば内閣が辞職し、解決までイギリスに政府が存在しなくなる。最終的には自治領すらも英連邦諸国からの要望や懸念に対する国王のあからさまな軽視に失望し、代替手段がなければ一時的な政治の弱体化を国王との関係を断つために利用しようとする。
- 結婚がひとたび道を外れれば危機は終わる。内閣の不在と政治的混乱に乗じて、国王は危機の間のもっとも強力な支持者であるデイヴィッド・ロイド・ジョージ、ウィンストン・チャーチル、オズワルド・モズレーを率いて国王に従順な政党を組織させることができる。
- このツリーではドイツとの関係が強化され、イタリアからは地中海の安全を取り付け、旧自治領の王党派の支援のもとに帝国を再征服することになる。最終的にアングロスフィア全体がひとつの旗のもとに統一されることを追求し、またソ連か日本に対して先制攻撃をしかけようとする。さらなるメリットとして、非中核州の人的資源が増加し、ロイヤルネイビーの移動速度と航続距離を増大させる固有の国民精神を獲得する。また、イランとアフガニスタンに対しては「隷属か死か(become our puppet or die!)」というインドからのソ連の到達を促進する(?)イベントもある。
ファシズム
- イギリスの黒シャツ隊は全土である程度の成功を収め、イギリスファシスト連合は最盛期には5万人いたが、不幸にも親ドイツ・反ユダヤ的なレトリックが党員を離脱させ、また悪名高いケーブルストリートの戦いが政府の行動を誘発した。政治的なユニフォームの使用を禁止した治安法が可決され、行進の開催が困難になった。
- こうした「黒シャツ隊の行進」はHoI4でイギリスをファシストにする鍵となる。「黒シャツ隊の編成(Organize the Blackshirts)」という方針を取った後、一連のディシジョンが使用可能となる。行進はステートの人口に合わせてファシズムの支持を上昇させ、安定度を低下させる(行進が平和的か暴力的かにもよるが、ステートの人口にもよる)。安定度が50%を下回ると内戦が始まる。
- しかし政治力を消費してモズレーが演説を行うことで、緊張を和らげ、ファシズムがよりイギリス国民に受け入れられるようにでき、安定度を上昇させる。安定度を50%以上に保ったままファシズムの支持率が50%以上になると、ダウニング街への行進で最後通牒を突きつけ、平和的にファシズム国家になれる。ひとたびこうなれば反ドイツのレトリックをとることができ、イタリアとの同盟も模索できる。
共産主義
- 共産主義ルートは、政府が再軍備を急展開しようとするところから模索した。労働組合との交渉によってプレイヤーは強力な一時ボーナスを得るが、そのときに労働組合のある要求を飲むこともあるだろう。これは特定のアドバイザーを登用することから一定の政治力を支払うことに及び、さもなくば建設・生産速度に一時的なペナルティが付く。
- 要求ごとに共産主義の支持率が6%ずつ上昇し、充分支持率が上がると最後通牒が突きつけられ、共産主義が政権を握る。注意してほしいのは、共産主義になって2年間は脱植民地化できず、支持者がプレイヤーを詐欺師として非難し、内戦になることもある。
- これ以降、プレイヤーは上流階級と王家を排除し、その後は自身の共産主義同盟を立ち上げるか、ソ連と協調するかを選ぶ。前者は全世界に対する脱植民地化の闘士となるか、イギリス海峡の向こう側に救いの手を差し伸べるかを選ぶ。そのときは、ソ連と交渉して協調してドイツを攻撃するか、あるいは自身でソ連を攻撃するかを選べる。モスクワに行くか、ファシズムと対抗するか、資本主義とアメリカンドリームを完膚なきまでに叩き潰すかだ。
- 最後に、ファシズムと共産主義では、どちらも素早く決定的な手を打たない限り自治領が去っていく。「自治領の確保(Move to Secure the Dominions)」という方針では戒厳令を敷くことができるが、少なくとも人的資源9600相当の師団が自治領のステートごとに必要となる(さらに首都があるステートではその5倍必要になる)。戒厳令は180日間、自治領が独立し、陣営を離れるのを防ぐことができる。その間にプロパガンダを打ってイデオロギーの支持率を充分高めれば、その自治領の政府はプレイヤーと同じものに替わり、同盟も維持される。
質疑応答
Q1:日本からは日英同盟復活できるのに、イギリスからはできるようにしないの?
A1:それについて計画していることはある。
Q2:共産主義ルートはいいと思うけど、日本の共産主義ルート実装の後だし、お願いだから共産主義ルートが満足できてバランスの取れたものにするのに時間をかけてほしい。陸海空軍を失って41年まで内戦して国家方針からはちょっとしかボーナスがもらえないのは面白くない。
A2:それについては考えていて、可能性の低いシナリオだからこそ、そのためにプレイヤーは頑張らなければならないようにしたいと思っている。これはHoI4において非常に困難なルートにするつもりだ。
Q3:HoI4チームは人手が足りてないんじゃない?
A3:まったくそんなことはない。だいたいほかのほとんどのプロジェクトと同じくらいの規模だよ。
コメント
DLCの主要変更点に据えているだけあって、オマケで作っている感じはありませんね
出来はやってみるまでわかるものではないですけど期待ができそうで嬉しい
欧州のNFには気合いを入れるパラド
海外でもプログラマーは奴隷労働なのか
でもなぜか、自国周辺のNFには手を付けないパラド。
トルコ、シャム、フィンランド辺りにNF追加してくれよ、ホントに・・・。
オスマン帝国の復活とか、大東亜共栄圏と連合板挟みの苦渋とか、冬戦争とかネタはあるだろ。
いつかやるって書いてあるだろ…
まあ、そうあわてなさんな
いつかやるって言葉ほど当てにならない言葉はないんだよなぁ
次辺りソ連のNF見直しと関連して北欧やトルコをいじってほしいなぁ
イタリアが先だろ!