1980年以降の世界でソフトウェア開発会社を経営するシミュレーションゲーム「Software Inc.」を難易度Very Hardで遊ぶプレイ日記第22回。今回はさらなる新作を発売しますが……。
前回:プレイ日記 第21回
前回のあらすじ
前回は1988年7-12月まで。スポーツゲーム「Race Championship」の設計が完了し、2Dエディター「Art Canvas 2」の設計を開始しました。さらに今まで売れなかった「EQ Mix」が技術アップグレードで急に売れ始めるといううれしいサプライズも。
現在進行中のプロジェクトはこのとおり。「Race Championship」とオーディオツール「EQ Mix 2」は今年中に発売の見込みです。
1989年1月
「Race Championship」アルファフェーズ完了
1月第4週(4日目)、「EQ Mix 2」より先に「Race Championship」のアルファフェーズが完了。
プレスリリースは動画が全然進んでいないままでのリリースとなりました。プレス用ビルドも送信してバグ取りのベータフェーズに進みます。
「EQ Mix 2」アルファフェーズ完了
少し遅れて「EQ Mix 2」もアルファフェーズが完了。
こちらのプレスリリースも動画は半分も進みませんでした。同様にプレス用ビルドも送信してバグ取りのベータフェーズに進みます。
ゲーム会社の倒産
さらに1月第4週(4日目)にはゲーム開発会社PatoBurst Interactiveが倒産寸前になっていたので、流通している株式を買い占めます。
翌週、想定どおりPatoBurst Interactiveは倒産し、ゲームシリーズ5本を獲得。「CityLegion Imperium」をまったく歯牙にもかけなかった大ヒットRTS「Supreme EmpireSentinel」シリーズも含まれています。350万本を売り上げた大ヒット作を持っているのに倒産とは、まさにIT産業は諸行無常。
1989年4月
ゲーム会社のさらなる倒産、の前に……
倒産見込みのElectroNowis Corp.はPread Ltd.株式をおよそ5000万ドル分保有しているため、企業価値がおよそ2700万ドルと高く、流通株式の買い占めに1300万ドル以上かかってしまいます。保有株式を考えれば差し引きで3700万ドルもの大幅なプラスですが、そこまで多額の現金は用意できません。
4月第2週(2日目)、また別のゲーム開発会社ElectroNowis Corp.が倒産寸前となっていますが、同社は他社株式を大量に保有していて企業価値が高く、これまでの倒産寸前企業のように簡単に流通株式を買い占めることができません。手持ちの他社株式を現金化して倒産を逃れてくれればいいのですが、現在のゲームシステムではそういう気の利いた振る舞いはしてくれません。このまま倒産します。
最初の状態。倒産見込みのElectroNowis Corp.がPread Ltd.株式をおよそ5000万ドル分保有しています。
ElectroNowis Corp.が保有していたPread Ltd.株式およそ1000万ドル分を当社が買い付け。
最後に当社保有のPread Ltd.株式を売却。本作では株式の売買に手数料などの費用はかからないため、即時に売却すれば購入額と同額が戻ってきます。ElectroNowis Corp.から購入したPread Ltd.株式の代金はElectroNowis Corp.に入り、同社をしばらく延命できます。
そこで、ちょっとプレイヤーチートっぽさはありますが、ElectroNowis Corp.が保有するPread Ltd.株式を当社が買い付け、これを即時に売却することで、ElectroNowis Corp.が保有するPread Ltd.株式を現金化してやることにします。倒産寸前のElectroNowis Corp.には株式の売却代金が入るため、同社をしばらく延命できます。これまでの経験では、たいていはせっかく得た資金も使い潰してやはり倒産しますが、たまにそこから持ち直せる場合もあったと記憶しています。
倒産寸前の会社が他社株式を抱えたまま倒産すると、同社が保有する他社株式をはるかに安価で取得できてしまう(今回の例ではおよそ1300万ドルで5000万ドル分の他社株式を取得できる)ことになり、私としてはなんだかプレイヤーチートっぽい気がしてしまいます。ただ、そういうことを言い始めると、これまで私がやってきたように知的所有権を安価に取得するのも同じではないかと考えることもできます。自分の中でどう辻褄を合わせるか難しいところですが、「倒産会社から取得した知的所有権は他社に売却して現金化しない」という縛りを設けて、倒産会社から知的所有権を安価に取得するのはOKということにします。
結局のところ、これは倒産しそうな会社が手持ちの資産をあまり現金化しようとしない振る舞いが問題なので、今後のアップデートではそのあたりに気を配ってくれるとうれしいですね。
1989年6月
ここからバージョンが1.8.12→1.8.14に上がっています。
「Art Canvas」の売上急減
6月に入って、これまで好調な売れ行きを見せていた2Dエディター「Art Canvas」の売上が急ブレーキ。4月には約18,000本もの販売本数を叩き出し、2Dエディター市場を席巻していましたが、5月末に新作「PicturePallette」が発売されるや一気にシェアを奪われ、6月の販売本数は1,200本にまで落ち込んでいます。88年のベストプロダクト賞受賞からちょうど1年経過していますし、ちょうどそのタイミングでベストプロダクト賞の神通力も失われた可能性もあります。
1989年8月
スポーツゲーム「Race Championship」前倒し発売
スポーツゲーム「Race Championship」は11月発売予定ですが、開発チームがバグ修正の手を止めたので修正が終わったものとみなし、発売することにします。
評価はこのとおり。知名度はやはり伸びませんでしたが、品質については高い評価を得られました。発売後のマーケティングで知名度と売上を伸ばせるかが勝負になりそうです。
そして今回もベータフェーズでパッケージの印刷をかけることをすっかり忘れていたので、慌てて印刷をかけます。
発売初週の売上はわずか90本……。創造性スコア見込みは54%とそれなりの高さだったので3桁後半くらいは売れるんじゃないかと期待していたのですが、そうは問屋が卸さないようです。
発売初月売上は95本。つまり初週のあとほとんど売れていないということになります。
こうなると、第19回で売れない理由を考察したときの結論である「創造性と市場認知度の低さ」というのが本当に正しいのか、かなり疑わしく思えてきます。一方で、スポーツゲームは市場認知度ゼロの状態で発売しているため、創造性の売上に及ぼす効果は出ているものの、市場認知度の低さがそれを打ち消しているという場合も考えられます(そうであってほしい……)。もうまもなく発売予定のオーディオツール「EQ Mix 2」は、前作「EQ Mix」によってハート半分程度ですがオーディオツール市場における認知度がある程度高まっているため、上の理屈が正しいならもうちょっとまともに売れるはずですが、どうなるか。
また、市場認知度の低さによってこれほど売れ行きが厳しくなっていると仮定した場合、少なくともVery Hardでは市場認知度の低いうちはパブリッシャーを使うほうが圧倒的によいということになります。まだ製品を発売していないジャンルはたくさんあるので、この点も今後検証したいところです。
とはいえ、最初は完全に鳴かず飛ばずだった「EQ Mix」と「CityLegion Imperium」も今では月間数千本は売れているので、「Race Championship」もなんとかなるんじゃないかと楽観しています。
業績は安定
今回は1989年1~8月まで。前回は人件費の増加でじわじわと業績が悪化していましたが、今回ももさらに人を増やしているものの、4月以降は製品売上やロイヤリティ収入、電子機器製造事業の利益などで業績は再び安定状態となっています。ただ、本作の中心である製品の開発・販売がようやく安定軌道に乗りかけたかというところで、売れ筋であった「Art Canvas」の失速と新製品「Race Championship」のスタートダッシュ失敗という問題が浮上しており、一筋縄ではいかないようです……。
現在開発中のプロジェクト4件の進捗状況はこのとおり。「EQ Mix 2」は次回発売予定。「Imperium」と「Art Canvas 2」は遠からずアルファフェーズに移行予定です。
今後新作を開発するとなった場合は、これまでまったく市場認知度のない分野で、今度はパブリッシャーを使って製品開発を行いたいと思います。
ElectroNowis Corp.買収については、本作のシステムの赴くままに巨額の他社株式を抱えた状態で倒産させて一気に3000万ドルほどの利益を得るという展開にしてもよかったのですが、それではプレイ日記としてあまりにも味気なさすぎるなと感じたので、今回はなしということにしました。今後も「製品が売れない……なんで!?」と四苦八苦する(私としてはスマートに利益を出したいのですけれど……)様子を楽しんでいただければ幸いです。
次回:プレイ日記 第23回
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