1980年以降の世界でソフトウェア開発会社を経営するシミュレーションゲーム「Software Inc.」を難易度Very Hardで遊ぶプレイ日記第17回。今回は初の自社ソフトウェアの売れ行きを総括します。
前回:プレイ日記 第16回
前回のあらすじ
前回は1986年1月から7月まで。ようやく「EQ Mix」を発売しましたが、スタートダッシュには完全に失敗。発売後に技術アップグレード・移植やマーケティングを頑張っていますが、特にマーケティングは大量の資金が流出するため、業績が悪化しています。
開発中のRTSゲーム「CityLegion Imperium」と2Dエディター「Art Canvas」はいずれも設計バージョン4に入っており、前者はまもなく設計完了の見込みです。
1986年8月
RTSゲーム「CityLegion Imperium」設計完了
8月第1週(1日目)、RTSゲーム「CityLegion Imperium」の設計が完了。
発売日は「EQ Mix」のときと同じく1年4か月以内に設定。今回は1987年11月としました。
準備していたプレスリリースもここでリリースし、アルファフェーズに進みます。誇大広告も実施しておきます。
「EQ Mix 2」の仕様決定
「EQ Mix」開発直前のブリジット・オニール。左下の顔の横に表示されているオーディオツールスキルはゲージの2割くらいしかありません。
「EQ Mix」発売後のブリジット・オニール。オーディオツールスキルがゲージの7割くらいまで高まっています。
「CityLegion Imperium」の設計チームはそのまま「EQ Mix 2」の設計に移りますが、「EQ Mix」のリードデザイナーだったブリジット・オニールのオーディオツールスキルが「EQ Mix」発売によって大きく伸びていました。
「EQ Mix」の仕様決定時の要約。創造性スコア見込みはわずか4%でした。
86年8月時点でブリジット・オニールをリードデザイナーとしてオーディオツールを開発しようとした場合の要約。創造性スコア見込みは67%と、大幅に高まっています。
「EQ Mix 2」も前作に続いてオニールをリードデザイナーとしますが、今回は創造性スコア見込みが67%と大幅に増加しています。
いろいろ考えた結果、今回は少し変えてシステム★2の機能を採用しました。当社のプログラマーは基本的にシステム★2スキルを持たせるように教育しているため、アルファフェーズに入っても問題なく開発を進められるはずです。
要約はこのとおり。創造性スコア見込みが高いので「EQ Mix」よりは売れるはずです。
1986年10月
RTSゲーム「CityLegion Imperium」の再設計
RTSゲーム「CityLegion Imperium」のコード75%時点でのレビューにおいて、既に進捗度100%に到達しているアートで満点に届かない9.8点が出たので、「バージョン更新」を押して再設計を行います。
「CityLegion Imperium」の設計チームはほとんどそのままEQ Mix 2設計チームに移行したので、「EQ Mix 2」の設計を止めて再設計をさせることにします。
再設計には1週間(1日)もかかりませんでしたが、「CityLegion Imperium」のアルファフェーズは大きく手戻りすることになりました。
1986年11月
地下大食堂の建設
サポートチームの大部屋をマーケティングチームの大部屋のように拡張するため、サポートチームの隣にあった食堂を廃止します。
代わりに地下に大食堂を建設。全92席、同時に4名の料理人が稼働し、ベルトコンベヤーで食事を配膳するハイテク仕様です。
サポートチームのオフィスはマーケティングチームと同様に拡張。計57名を収容する大規模オフィスです。
「CityLegion Imperium」の進捗
アートで満点レビューを取れず再設計した「CityLegion Imperium」ですが、再びアートの進捗が100%になったところで取ったレビューで今度は満点を獲得。このままアルファフェーズを進めます。
「EQ Mix」がちょっとだけ売れ始める
発売以来、売上が超低空飛行を続けていたオーディオツール「EQ Mix」ですが、11月に入って古いOSである「CrystalView OS 3」への移植が完了したところで急に売れ始めました。
「CrystalView OS 3」は既にアクティブユーザーが3万人弱しかいないOSですが、競合製品「Sound Master」はこのOSでは発売されておらず、このOSで使用できるオーディオツールとしては「EQ Mix」が断トツで新しいものとなっています。急に売れ始めたのはこれが原因でしょう。しかし月間数百本では物足りません。もう1桁くらい増えてくれるといいのですが……。
なお、「EQ Mix」は売上不振ですが、以前倒産した開発会社から引き取ったウイルス対策ソフト「Scam Fortress 13」は順調に売上を伸ばしており、今は月間2,400本ほどとなっています。貴重な収入源です。
1986年12月
ホスティング取引
ネットワークをサポートしたOS「Cortex」が発売されたことにより、ホスティング取引のオファーがありました。ホスティングは保有しているサーバーの帯域幅を他社に使わせるものです。
新たに中型サーバーを買い入れ、これをホスティングサーバーとすることにします。
1986年のまとめ
1986年は200万ドルちょっとの収入超過。一時は赤字決算かとも思いましたが、終わってみれば1984年と同程度の手許現金増加となりました。
1986年分の業績は以下のとおり。
- (1985年→86年)
- 売上高:93,838→366,417千ドル(前年比+290%)
- 営業費用:88,086→360,245千ドル
- 減価償却費:40→768千ドル
- 投資損失:なし→-298千ドル
- 支払利息:113→144千ドル
- 税引前当期純利益:5,599→4,962千ドル(-11%)
86年は受注できる電子機器製造案件が増えて売上が大きく伸びましたが、それに対応する費用も大きくかさみ、さらに自社製品のマーケティングにも少なからぬ費用を投じたため、結局前年比で利益は縮小。
額が突出して大きい契約と請求のグラフを除いて、少額のグラフを見れるようにしたもの。
創業から現在までの月ごとの収支の推移。下のグラフで銀行残高(手許現金)が大きく減っているのはちょうど高額の電子機器製造案件を受注したタイミングで、手許現金が足りずに運転資金として100万ドルの借入を起こしたりしていました。そのぶん利益も大きく、その後は急速に現金が積み上がり、現在はおよそ900万ドルほどの現金を保有しています。
その他の統計。現在の従業員は116名で、85年末の98名から18名の増加となっています。
現在進行中のソフトウェア開発プロジェクト3件の進捗状況はこのとおり。RTSゲーム「CityLegion Imperium」はまもなくアルファフェーズを終えてベータフェーズ入りする見込み、2Dエディター「Art Canvas」は来年初頭にも設計を終えてアルファフェーズ入りする見込みです。86年8月に開発を始めたオーディオツール「EQ Mix 2」は現在設計バージョン2が半分程度進行しているところで、設計完了はおそらく再来年でしょう。
「EQ Mix」の失敗
初の自社開発ソフトウェア「EQ Mix」は、残念ながら失敗であったと言わざるを得ません。発売から10か月経過時点での累計販売本数はおよそ1,000本程度と、見るも無惨な負け戦です。
上の画像右側の競合製品との比較を見ても、「EQ Mix」のグラフはほとんど見えない程度でしかありません。ただし、ライバル製品「Sound Master」(水色の棒グラフ)も大成功しているかというと、そんなことはないようです。85年6月発売の「Audio Studio 2」(紫色の棒グラフ)が大規模バグ修正パッチを出したことで販売が急回復し、足下ではもっとも売れているオーディオツールとなっています。
市場認知度が低いので大ヒットは期待していませんでしたが、「EQ Mix」はあまりにも売れなすぎて目的であった市場認知度が全然高まっていません。ひとつ前の画像左下の円グラフにプロジェクト経費の内訳があり、これを見ると合計でおよそ150万ドル程度と大した損失ではありませんが、市場認知度をうまく獲得できなかったというのは本当に失敗です。今後もどうにかあがいて、少しでも市場認知度を高め、「EQ Mix 2」の足場固めをしてやりたいところです。
1986年後半
今回は1986年8-12月の5か月間を進めました。86年前半を進めた前回は厳しい収支でしたが、後半は大きく収支が改善し、86年の決算も思ったよりずっとよい着地となりました。一方で、「EQ Mix」の販売が振るわないままになってしまい、今後発売される「CityLegion Imperium」と「Art Canvas」の成功も怪しい気がしています……。
「EQ Mix」はもうちょっと売れてくれる見込みで作っていたのですが、ここまで売れないというのはプレイ日記的にも完全に想定外でした。「CityLegion Imperium」と「Art Canvas」でも同様の方法で開発・マーケティングをやっていくつもりですが、3本全部だめとなると開発・マーケティング方法を変える必要が出てきますね……。
次回:プレイ日記 第18回
コメント
お疲れ様です。ある程度売上伸びてるように見えて嬉しいですが、大きな目線で見ると焼け石に水レベルなのが悲しみ…
今までテストプレイされた中でも、初製品出す頃は市場認知度まだまだ全然だったんですかね…?サポートとか裏方仕事だけではダメなんですね…
ご覧いただきありがとうございます。
> 今までテストプレイされた中でも、初製品出す頃は市場認知度まだまだ全然だったんですかね…?
そうですね。私が知る限りでは製品を発売しないと市場認知度は上昇しないので、これまでのプレイでも最初の製品は市場認知度ゼロで、今回と同じように品質最優先で発売していたのですが、それでも今回の10倍以上は売れていました。
最近のアップデートの影響でそのあたりが厳しめになったのか、今回たまたま売れない市場環境ができてしまったかのどちらかなんじゃないかと思います。