1980年以降の世界でソフトウェア開発会社を経営するシミュレーションゲーム「Software Inc.」を難易度Very Hardで遊ぶプレイ日記第5回。今回は遂にデスマーチが発生することに……。
前回:プレイ日記 第4回
前回のあらすじ
前回は1980年6-7月、マーケティング業務担当者がマーケティング業務を終えた後にサポート業務を行えるようにし、マーケティング業務担当者の欠勤に増員で対応したところでした。人を増やしているため会社の現金収支は悪化しているように見えますが、借入金の返済を除けば収入超過を維持できています。
1980年8月
仕事不足
前回までは人手不足が問題だったのでどんどん人を増やしてきましたが、ここに至ってサービス業務(サポート・マーケティング)担当者にやってもらう仕事がなくなりました。
既に受注している契約作業をやらせることもできますが、ソフトウェア開発は作業者の推奨人数が決まっています。「Software Inc.」のSteamスレッドなどでは、推奨人数を超える人数を作業に充てても作業がそれほど早くならない(作業者が増えるごとに作業速度の増加分が逓減していく)、あるいは逆に作業が遅くなるということが言われています。個人的には、推奨人数+3人くらいまでなら作業者を増やすことで作業速度を高める効果が十分にある一方、大幅に超過すると作業が遅くなるという印象です。ソフトウェア開発の設計文書でも、推奨人数+3人までは作業人数が赤く警告表示されない(逆に言えば+4人以上になると赤く警告表示される)ので、ゲームシステムとしてもそれくらいまでなら作業人数超過に意味があると認めているのではないかと考えています。
既に受注している契約作業は推奨人数1人のところ、既に3人を割り当てています。もう1人割り当ててもいいですが、基本スキルのない作業者を割り当ててもあまり作業速度向上に寄与しないでしょう。
仕事がない状態で放っておくと従業員の満足度は低下しますが、サポート業務は待機件数が0でも仕事をしている扱いになる(コールセンターで問い合わせを待っている間も仕事ということなのでしょう)のでそのまま業務を続けてもらうことにします。
1980年9月
より大きな契約作業
ビジネスの評判が上がったことで、契約作業としてこれまでの1万ドル未満の小規模案件以外に、15,000ドルほどのより大きな案件と製造案件が入るようになりました。製造案件は製造設備が必要ですが、15,000ドル規模の契約作業は推奨作業人数を見てもこれまで受けていた1万ドル未満の案件とそれほど違いがなさそうに見えるので、試しに受注してみることにします。
推奨作業人数はそんなに変わらないし大丈夫だろうと思っていましたが、実際に作業を進めてみるとかなり重い案件のようで、1週間(ゲーム中の1日)作業を進めてみても設計作業が1/3ほどしか進んでいません。要求品質は「平凡」なので設計はバージョン2完了まで持っていきたいところですが、このペースではとても間に合いません。
しかしながら、現在のCoreチームのオフィスは既に満員です。マーケティングチームを新設してマーケティング業務担当者を新たなオフィスに移し、追加人員のスペースを作りましょう。
マーケティングチームの新設と新たなオフィス
マーケティングチームを新設し、タスクを整理します。Coreチームに割り当てられていたマーケティング・サポート(補助)業務はマーケティングチームに移管し、Coreチームは契約作業のみ割り当てます。
Coreチームの隣の部屋も賃借し、マーケティングチームのオフィスとします。家具配置ははす向かいのサポートチームのオフィスと同様です。
新設したマーケティングチームのリーダー兼メンターとして、マーケティング業務のベテランを雇用します。4名の応募者のうち、基本スキルの高さなど諸々考慮してリタ・ソリスを採用。
ベテランデザイナーの採用
マーケティングチームが独立して空いたCoreチームのオフィスには、ベテランデザイナーを入れてメンターをやってもらうことにします(リーダーは創業者のまま)。4名の応募者のうち、こちらも基本スキルの高さなど諸々考慮してジョゼフィン・ケネディを採用。デザイナーの採用ではこれまで創造性を重視してきましたが、今回はメンター役が欲しかったので考慮していません。
上で作業推奨人数について触れましたが、これでCoreチームは4名となり、作業推奨人数1名の設計作業をこなせる最大人数(あくまで私が思っているだけのものではありますが)に達しました。現在受注している15,000ドル規模の契約作業も設計作業推奨人数は1名なので、これでも作業が間に合わないということになっても(というかまず間に合わないのですが)、これ以上の増員はしないことにします。
デザイナーはベテランになると給与が月1万ドル前後と、恐ろしい額になっています。メンター役となるベテランを雇用するのは長期的な視点に立った判断ですが、足下ではまた資金不足に陥りそうです……。
サポート業務の受注
話の腰が折れてしまうので飛ばしましたが、今月半ばには新たにオフィス用ソフトウェア「Open Letter」のサポート業務を受注していました。開発元のTechnoDurk Integratedは1980年6月創業の新興企業。3,562ドル/週=14,248ドル/月と、今の当社には小さくない収益ですし、仕事不足の緩和にもつながるでしょう。
赤字拡大
高給取り2名を採用し、マーケティングチームも独立させた結果として、今月はおよそ22,000ドルの支出超過。借入金の返済を除外しても13,000ドルの支出超過です。来月末には借入のおかわりが必要になるかもしれません。
1980年10月
賃金交渉
サポートチームのリーダー以外のメンバー4名が賃金引き上げを要求。なぜこのタイミングで賃金交渉となったのかわかりませんが、いずれも数十ドル程度なので受諾します。
欠勤対応
先月受注した15,000ドル規模の契約作業の最終週(最終日)になって、Coreチームのメンターであるジョゼフィン・ケネディが欠勤。もともと間に合わないスケジュールでしたが、これで確実になりました。さらに、4名しかいないマーケティングチームで2名が欠勤。困りました。
まず契約作業については、今のところ設計がバージョン1すら完了していません。せめてバージョン1完了→最低限の進捗度完了と進めて、とりあえず体裁がつくところまでは作業したいので、「高速処理」にチェックを入れます。
「高速処理(英語表記はCrunch)」は、日本での使われ方とはニュアンスが違うかもしれませんが、いわゆる「デスマーチ」です。ただし、ゲーム中では勤務時間が伸びるということはなく、あくまで勤務時間の中で過重労働をして作業速度をブーストするという動作をします。「高速処理」中は作業者のストレスが急速に増加し、「高速処理」解除した後には後遺症として作業速度が大幅に低下します。
「高速処理」は効果が大きいため、上に書いた「とりあえず体裁をつける」ところまで仕上げるなら十分可能なはずです。
マーケティング業務については、幸いにして今のところサポート業務の待機件数が少ないため、サポートチームに補助タスクとしてマーケティング業務をやらせることにします。既にマーケティングチームがサポート業務を補助タスクとしてやってくれているので、互いに支え合ってもらいましょう。
これでもまだ作業完了が無理なようなら、Coreチームと同じく「高速処理」で頑張ってもらうことにします。
結果として、契約作業は体裁をつけるどころか十分な品質を出すことができ、成功裏に完了。しかしこれは運がよかっただけですし、「高速処理」も使ってやっとこなせているので、現在の陣容では15,000ドル規模の契約作業受注は避けたほうがいいでしょう。これまでどおり1万ドル未満の小規模案件が身の丈に合った仕事のようです。
マーケティング業務もギリギリでしたが、「高速処理」を使ってなんとか勤務時間終了までに完了させることができました。
必要な業務終了後は「高速処理」のチェックボタンを忘れずに解除しておきます。
黒字まであと一歩
1980年10月は人員募集費用やオフィス整備費用のような一時的支出がなく、15,000ドル規模の契約作業の成功報酬受領も相まって、月間現金収支はわずかなマイナスに留まりました。ベテラン2名の採用で経常収支もマイナス転落かと思っていましたが、サポート業務の新規受注などに助けられて収支は思ったほど悪化しなかったようです。
手許現金はおよそ30,000ドルと心許なくなってきており、マーケティングかサポートの新規業務がほしいところ。特にマーケティング業務は来年2月で終了なので、その後の仕事が必要です。
今回は一時的にデスマーチ(「高速処理」)をやってしまった当社ですが、デスマーチは長期間使うと従業員から不満を言われ、最終的に従業員の退職につながるので、なるべく使わないほうがいいでしょう。プロジェクトの適切な管理と従業員の健康が将来の利益につながります(少なくともゲームでは)。
次回:プレイ日記 第6回
コメント
更新お疲れ様です。
良かった…残業して徹夜で納期まで収める挙動は無いんですね…(最終手段であるのかもしれないけど
ご覧いただきありがとうございます。
もしかすると一時的にチームの勤務時間を延ばすという手段も使えるのかもしれませんが、従業員の体力が尽きて結局作業が進まないという結果になりそうな気がします。