「Hearts of Iron IV」開発日記2025年2月18日分が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はアフガニスタンとイラクについて。「Graveyard of Empires」リリース前の開発日記です。
開発日記
開発日記2025年2月18日分は、アフガニスタンとイラクについて。
- 今日の内容に入る前に、先週の開発日記への反応について触れておきたい。私たちが紹介した一部の内容がコミュニティの一部から強い否定的な反応を引き起こしたが、これは珍しいことではなく、実際、開発日記の存在理由のひとつと言ってもよい。意図的なフィードバックはいいことだ。ゲームにとって最良の方向について意見が常に一致するわけではないが、開発日記でコンテンツを早くに公開することがコンテンツをよい方向に変化させることは、これまで繰り返し示してきたと思っている。
- しかし過去数回のリリースでは開発日記は以前よりも開発プロセスのかなり後半に行われるようになった。そのため、得られたフィードバックに基づいて大きな変更を行うのが困難になっている。私(注:ゲームディレクターのArheo氏)はこれに満足しておらず、変えるつもりでいる。
- 以上のようなことがあっても、私たちは開発日記を変化のための媒体としており、Silk Road Empireルートに関するコミュニティの意見を取り入れ、より史実から着想を得た見方に合うように変更する予定だ。これについてはアフガニスタンに関する節の後で述べている。
- 最後に、今週私たちが受け取った一部の反応には好ましくない暗示がある。私たちにゲームを変更させるために少数のプレイヤーが脅迫、嫌がらせ、私が適切だったり許容できると考えるネット上の振る舞いをはるかに逸脱した組織的な個人攻撃を行った。一般に、私たちは嫌がらせや脅迫を伴う要求には応じない。上に示したように、変更につながる可能性がもっとも高いのは建設的なフィードバックだ。
アフガニスタン
King Zahirルート
- 史実どおり進めることにした場合、プレイヤーの目標は英領インドとソ連から不必要な注目を避けながら中立を維持することだ。
- 史実ルートでは外交的な難事を成し遂げることに注目する。ソ連やイギリスの介入を心配せずに十分な近代化に取り組む。防衛軍備を強化し、貿易協定を交渉し、長期的に考える。戦争を無傷で乗り切れば、アフガニスタンはより強く、より団結し、戦後のステージに上がれるようになるかもしれない。しかしこのルートではKing Zahir Shahを強化して史実から外れる選択肢もある。
- これによってアフガニスタンは議会制民主主義、あるいは共和制へと移行できる。選択次第では共和制の樹立によってより多くの領土を中核化したり、Pashtunistanのような新たな国家に変わることもできる。最後の国家方針「Sinkiang Intervention」は非史実のアフガニスタンが新彊に宣戦布告し、傀儡化できるもので、1933年のこの地域におけるアフガニスタンの介入に続くものだ。
近代化と産業
- アフガニスタンの産業ブランチは微妙なバランスを保っている。一方では、台頭する中産階級や改革派が工場や鉄道、効果的な統治ができる中央政府などの近代化を求めている。他方では地方のエリートや部族指導者が現状維持を求め、自分たちの権力や伝統を脅かすような変化に激しく反対している。
- 新たな大学が設立されれば(研究スロットが増える)その卒業生は職を求める。さもなくば彼らは国民精神という形で代替的なイデオロギーに傾倒し、現政権に反対する政党を強化する。卒業生や地方住民のニーズに応えなければ、事態はさらにエスカレートする。ソ連から産業援助を受けていた場合はなおさらだ。
- うまくやるにはこうした相反する利害を慎重に調整する必要がある。伝統主義者を敵に回せば内乱の危険がある。改革派を無視すれば経済は停滞し、現代世界の課題への備えが不十分なままになる。適切なバランスを取ることが、20世紀の嵐を乗り切る強く安定したアフガニスタンを築く鍵となる。
共産主義ルート
- 共産主義ルートではソ連に接近し、君主制を打倒する革命を起こす。ソ連の支援で社会主義国家に再編し、農業を集団化し、ソ連の助言で急速に工業化を進める。共産主義アフガニスタンはコミンテルンに加盟し、南アジア全域に革命を広げることができる。共産主義のために中央アジアを確保した報酬として、アフガニスタンはソ連の中央アジアステートを獲得し、山岳地帯に新たな共産主義国家を形成できる。
ファシストルート
- このルートでは1929年に打倒された改革派の君主Amanullah Khanを王位に復帰させ、彼の近代化のビジョンに協力する。
- Khanを復帰させるためにプレイヤーは現政権に反対する人々の支持を集め、ドイツを懐柔してプレイヤーを支援させる必要がある。時が来ればKhanはその支援を利用して内戦で政府を暴力的に転覆させる必要がある。
- 国家を工業化するには、伝統主義者の反対を押し切り、経済を整える必要がある。Amanullahの改革は都市部での工場建設、女性の地位向上、教育の拡大などを行い、地方のエリートを疎外し、聖職者の忍耐力を試すような社会的大混乱をもたらす。工業化と軍事化が進めば、アフガニスタンは枢軸国に加盟し、彼らの戦争に貢献し、ソ連を犠牲にして中央アジアでの影響力を拡大するか、あるいは南下してインドを支配することもできる。
軍事的伝統
- アフガニスタンの軍事ツリーには2つのルートがあり、一方は地元の部族と地元の部族と彼らのゲリラ戦の知識を生かした徴募兵を基本とした軍を維持し、もう一方は近代化を進めて大砲、戦車、航空機を備えた職業軍人の常備軍を創設する。前者は防衛戦に長け、アフガニスタンの険しい地形で工業経済に頼らず強力な敵に対抗したいプレイヤーに最適だ。後者はより攻撃的なプレイスタイルを可能にするが、近代化にはインフラ、産業、訓練への大規模な投資が必要となる。
インドの変更
- 前回の開発日記のフィードバックを受けて、インドの非史実ルートに手を加えた。ご覧のように、ムガルルートは構造が少し変わっている。独立戦争で英領インドから離脱した後、孤独な藩王国となる。
- この後、プレイヤーは新国家を統治する人物を選ぶが、これにはティムールの末裔Mirza Khurshid Jah Bahadurも含まれる。さらに、指導者になれるのはヒンドゥー教徒でない藩王のみという厳しいルールも設けた。
- この後は2つのルートがある。ムガル帝国の遺産を受け入れて新たなムガル帝国となり、インドを手に入れようとする(先週書いたとおり)か、復活したティムール帝国という形で北と西に打って出るかだ。
- ティムール朝ルートでは首都をアフガニスタンに移し、中央アジア、イラン、トルコ、イラクの旧ティムール朝領土に拡張できる。このルートには首都への鉄道路線を敷くことで征服した領土を横断するシルクロードを拡張する選択肢もある。
イラク
ハーシム家の賭け
- 第一次大戦後にイギリスによって樹立されたイラクのハーシム王政は、国内での正統性の維持と外国からの支持の維持の間でバランスを取らなければならない。
- イギリスに接近すれば、主権の「調整」と引き換えに経済・軍事支援を得る。段階的な領土の譲歩と石油に関する合意によってイギリスから投資が流れ込み、帝国の監視の下でイラクの武装化と工業化が進む。
- しかし最後まで従属する必要はなく、注意深い外交と国政術によってイラクはハーシム家の統治を拡大するためにイギリスの支援を利用し、イラクとトランスヨルダンを統合するHashemite Federationを建国するか、Hashemite Caliphateの復活を追求し、イギリスを後ろ盾にイスラム世界の指導権を主張できる。もちろんイギリス軍の駐留が長引くほど国民の不満は高まる。
Bakr Sidqiのクーデター
- イギリス依存を好機ではなく鎖と見るプレイヤーには、Bakr Sidqiのクーデターというルートがある。
- 彼のクーデターを支持することでイラクを独立した軍事国家にでき、外国の干渉を拒絶し、英ソの野望を警戒する他の地域大国であるトルコやイランと同盟を結べる。このルートは周到な外交とイギリスの影響力に挑戦する意志が必要だが、準備が整うまでは明白な戦争を避ける必要がある。適切に振る舞えばイラクは誰の手先にもなることなく中東の支配的勢力となる。
The Golden Square Coup
- ファシズムとアラブ民族主義に触発された過激派将校のグループであるGolden Squareを支援することで、ハーシム王政を転覆させ、イラクを新たな汎アラブ運動の先鋒に変えることができる。史実ではこのクーデターによってイラクはイギリスとの短期戦争に突入したが、適切な手を打てば、もっと大きなものに変えることができる。枢軸国と手を組むことで、ドイツの支援を使って中東をイラクの支配下に統一する軍事作戦を展開し、アラブ世界を帝国主義勢力に対抗させることができる。野心があれば、植民地支配国が残した人工的な国境を捨てて、地図を完全に塗り替えることもできる。イギリス、トルコ、ペルシャの怒りに耐えてアラブ統一国家を建国できるだろうか?
黒い黄金と産業
- イラクの油田は急速な工業化の資金源となり、軍備を整え、経済を拡大する原動力となる。しかしこの富をどのように使うかは政治情勢次第だ。イギリスと協調すると、産業・軍事援助と引き換えに多くの石油を吸い上げられる。軍事的独立をしている場合は石油産業を発展させる必要があり、その成長の原動力は国内に頼ることになる。枢軸国と協調する場合は石油を利用して独伊と取引し、兵器やインフラを確保できる。
イギリスとの関係
- イラクの運命を決定づけるのは、イギリスとの関係をどう扱うかだ。協力するか、距離を置くか、公然と宣戦布告するかによって、君主主義・軍国主義・民族主義のいずれのルートかが決まる。イギリスに寛容になるなら、近代化のために彼らの支援を活用できる。外交的にイギリスに抵抗するなら、流血を伴わずに独立できる。完全に逆らうなら、戦う準備をしたほうがいい。挑発が早すぎれば、イギリスはイラクを叩き潰すことができる。タイミングがすべてだ。
次回:開発日記2025年2月
コメント
>一般に、私たちは嫌がらせや脅迫を伴う要求には応じない。上に示したように、変更につながる可能性がもっとも高いのは建設的なフィードバックだ。
ほんとにね…例え実装予定の内容全く合わなくても、冷静に意見言う事を忘れないようにしたい
FBから一週間も経たずにNFを変更するのはすごいな・・・
東インド会社ルートは残ってそうなのは気になるけど。
イラクとアフガンの拡張ルートは日記を読む限りは面白そうだな
エチオピアみたいに拡張NFがあっても国力が低すぎて実現が困難過ぎなければ良いけど
現実と絡めたことは言いたくはないんだが
今の国際情勢でのほほんと第二次世界大戦のゲーム作ること自体が不可能じみてきているように思えてならない
日米のリワークとか地獄絵図だろ
いや別に…
今回炎上した理由の大半は他に面白くできるネタがあるのにシルクロード帝国だの東インド会社だの意味不明なものを出してきたからだし
いや意味不明なのはそうなんだけど、中国もインドも色々沸騰してることがあるからこそで
まして今のアメリカで何をいじっても……なんかこう……全面的に……
今回の中国勢の抗議にだって「今後中国のリワークすることがあればその時検討する」って返す開発だからな
良くも悪くも政治的な問題に対しては無視が多いよ
ナチスのリワークが出来たんだし、よっぽどのことがない限り行ける気がするけど
コンゴだのアフガンだのイラクだの…
日米英の主要国を差し置いて実装するほどの価値がある国家なのかねえ
しかもあの領土欲の権化のソ連が共産化したからって土地を譲るなんてあり得ないでしょ
ソ連は共産主義国かつ正当性があるなら領土渡すよ、ポーランド国境はカーゾン線を遵守するため割譲、旧満州国地域は名目上は民国に無償で返還(実際は中国共産党)