「Victoria 3」開発日記#40が公開されていましたので、その内容をご紹介。今回はアヘン戦争・文化的執着・宗教的禁忌について。本体発売前の開発日記です。
前回:開発日記#39――航路
開発日記
開発日記#40は、アヘン戦争・文化的執着・宗教的禁忌について。
アヘン危機(The Opium Crisis)イベントは自国全体の生活水準・死亡率・軍事力の有効性に厳しいマイナスの補正をもたらす。
- Victoria 3ではアヘン戦争をジャーナル記事(Journal Entries)とイベントで表現している。清はこの危機の中で始まるが、ゲーム内の条件が整えば他の未承認国(unrecognised countries)でもこのコンテンツを経験することがある。
北京は1836年時点の世界で特に人口が多いステートだ。1900万人の人口に加えてモニュメント「紫禁城(Forbidden City)」、巨大な政府機関(Government Administration)セクター、既に使われていない万里の長城(Great Wall)の大部分もある。
- ここで文化的執着(Cultural Obsessions)について説明しよう。ある文化は特定の商品に執着することがある。その文化のPopは世界のどこにいても、同じPopニーズのカテゴリーの他の商品よりもずっと多くの支出を執着している商品に対して行う。
- 中国におけるアヘンの場合ではHanのPopは酒やタバコよりアヘンを買うことに多くの富を費やす。これにより当然アヘンの需要が高まり、中国国内でのアヘンの価格は上昇する。中国にアヘンを販売している外国はこの需要を利用して大儲けする。
- 文化には時間経過で新たな執着が出ることがあり、プレイヤーはPopの需要の変化に対応する必要がある。
- (アヘン戦争とは関係ないが)システム的に関連することとして、宗教は特定の商品に対して禁忌(Taboos)を持つ。例えばイスラム教では酒やワインの消費は禁忌だ。これは文化的執着とは逆の効果を持つ。こうした宗教を信仰するPopはそのカテゴリーの他の商品と比較して、その商品への支出が大きく減少する。つまり、イスラム教徒は酒の代わりにタバコやアヘン、ワインの代わりに茶やコーヒーを購入する。
- 実生活と同じように、誰もが自分の宗教の教義を完全に守るわけではないので、禁忌は消費を完全に「禁止」するのではなく購買の意思決定に対する強力な補正として機能する。執着とは異なり、禁忌はゲーム中で固定されている。
イギリス(または主要なアヘン輸出国)としてプレイすると、通常の外交手段や強制手段を通じてアヘン禁止令を阻止する機会を得る。これは中国に侵攻する機会にもなるかもしれない。
- 中国(あるいは標的となっているいずれかの国家)がこの問題に正面から立ち向かうことを選択した場合、ジャーナル記事「アヘン危機」にはこの問題を解決するための条件と直ちに失敗する条件が記載される。中国は自由貿易法(the Free Trade law)の制定をなんとしても避けねばならず、同時に列強が条約港を持とうとする試みにも抵抗しなければならない。
- この2つは潜在的な戦争目標であり、AIは中国に対して外交上の駆け引き(Diplomatic Plays)を始める際にこれを優先させる。中国は欧米に抵抗すると同時に、アヘン貿易の全面禁止を維持しなければならない。
- アヘンの流れを止めようとする中国の試みは対抗されないものにはならない。中国にアヘンを輸出している大国は、この問題に対する態度を決定するよう促すイベントが発生する。大国がこの問題を放置する可能性はあるが、対抗的な立場をとる可能性が非常に高い。これによってジャーナル記事「アヘン戦争(Opium Wars)」がその国家に追加され、大国の成功条件が中国の失敗条件と噛み合うようになっている。つまりアヘン貿易国は中国に自由貿易法を採用させるか、条約港を獲得しなければならない。
- AIは(そしてプレイヤーも!)あらかじめ決められた戦争目標について直ちに外交上の駆け引きを行うよりも、ジャーナル記事を完了するような戦争目標を設定した駆け引きを始めることが強く推奨されている。
アヘンによる被害や外国の干渉をから解放されて強化された清朝は、史実で彼らに破滅をもたらした危機を回避できるかもしれない。
- 中国が列強の猛攻に耐えながらアヘンの流れを抑えることに成功すれば、歴史の流れが変わり、この危機は解決される。すべての主要文化はアヘンへの執着を失い、蔓延する中毒の影響を表すマイナスの補正が取り除かれる。外国勢力は撃退され、中国はさらなる摩擦と混乱を招く不平等条約を強制されることがなくなる。
「脆弱な統合」はVictoria 3で「もっとも幅広い」ジャーナル記事で、ゲームのあらゆる段階で出現しうる内容を含む。例えば1836年にアヘン戦争の舞台は既に整っているが、義和団の乱(the Boxer Rebellion)はHanのナショナリズムがより強く現れるゲーム後半まで起こらない。
(質疑応答より)分裂した中国
- しかし、失敗すれば悲惨な結果を招く。政府は正統性(Legitimacy)を失い、国家全体で急進派(Radicals)が台頭し、騒乱(Turmoil)が自国ステートを飲み込むが、それは最悪の事態ではない。ジャーナル記事「アヘン戦争」に失敗するとジャーナル記事「脆弱な統合(Fragile Unity)」が出現する。分裂度が100%に達すると統一中国は終焉を迎え、国家は12の軍閥に分裂する。
- ジャーナル記事「アヘン戦争」の失敗は中国への宣教師の流入を招き、かつてない規模の反乱を引き起こす可能性もある。
- 中国における搾取的な外国の存在がHanのナショナリズムの時代まで続くなら、民衆の主権に対する要求は国家の基盤を揺るがし、清王朝の存続を脅かす。
質疑応答
Q:文化には禁忌はないの?
A:禁忌があるのは宗教だけだ。
Q:アメリカの禁酒法はどうなるの?
A:酒に対する文化的執着をトリガーにする。
来週は革命(Revolutions)について。4月は争いに関することを取り上げるとのこと。
次回:開発日記#41――革命
コメント
やはり中国は爆発するのか…(EU4の明を見ながら)
江戸日本も肉へのタブーあるのかな明治維新でなくなるけど
でもタブーは変動ないってあるからMOD待ちか
なんだ、中国でのセールは捨てるのか。Steamが禁止されてるんだっけ?
薬物への文化的執着とかほぼ確実に発禁だろうな。
まぁ実際はアヘンが中華民族の文化的執着じゃなく
抑圧された民衆の逃避先が薬物ってだけで別に当時のロンドンのスラムだろうが現代アメリカの若者だろうが一緒だしな
仕組み的には面白いけどアヘン戦争ありきのちょっと強引なやり方なのは間違いない
中国のゲーム規制の一環で、Paradoxが誤った歴史を垂れ流してると名指しで批判されてたからな。HoIが理由で会社ごとBANされた。
まあ、中国には崩壊していただかないとゲーム的に…
VIC2ではまともに発生しなかったのに…
禁忌が文化ではなく宗教に紐付けられてるって事は、明治以前の日本での肉食のタブーは仏教に紐付けるしかないのか 日本にそもそも国教とか支配的宗教の考え方はほとんど無いけど、表現するなら明治維新(からの廃仏毀釈)で肉食をタブーとしない国家神道のPopに移行していくって感じかな
ゲーム的にはそれでいいと思うけど、実際宗教的タブーとまで言うと薩摩藩の肉食文化が矛盾するんだよね。実際には生産効率的に大正義米作のおかげで、平野を牧草地にするよりコメつくった方がいいって経済的理由の方がでかい気がする。火山灰で米作に適さない薩摩や土壌の理由で輪作で強制的に牧草地にしないといけない西洋との違い。あと仏教の殺生禁止の戒律なら魚食もダメなはずだしね。
実際日本の歴史上では何度か生類憐みの令の類が出されて漁業への規制がされたりしている
その度に仏教教育を受けた歴史の記録者(当時の記録を残すものには僧侶関係者が多い)は「善政」として称えたりしているわけだが
実際仕事がなくなる漁業従事者としてはたまったものではなかっただろう
井伊彦根藩が定期的に牛肉の味噌漬け将軍家に献上してたり、言い訳してウサギ食う坊さんの逸話と言い、本音と建て前は絶対あるよね…基本的に日本って宗教戒律はいい加減な気がする。
逆に神道の穢れ思想は清潔好き(ともすれば潔癖症)という形で日本人には意外と根付いてたり日常の習慣の方が強いのは日本らしい。
ところで、対馬が色的に朝鮮領になってない?
対馬が朝鮮だったり、青森が秋田だったり
こういう細かいところまで手が回らないってことはまだまだ完成まで道のり長そう
ほんまやん、流石に修正してくれるよな…?