「Victoria 3」新DLC「Pivot of Empire」発売は、Steamの表記によれば日本時間21日18時の予定です。

ゲーム会社経営シミュレーション「ゲーム発展国++」レビュー

その他

ゲーム開発会社を経営してヒット作を生み出していくゲーム会社経営シミュレーション「ゲーム発展国++」のレビュー記事。PC版もありますが、今回はAndroid版の紹介です。


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ゲームの概要

ゲーム開発会社を経営してヒット作を生み出していくゲーム会社経営シミュレーションゲームです。2001年に公開されたフリーゲーム「ゲーム発展途上国ⅡDX」が源流のゲームで、当時「ゲーム発展途上国ⅡDX」を遊んでいたプレイヤーにとっては懐かしく感じられるゲームかもしれません。

本作はスマホアプリ版とSteam版がありますが、今回取り上げるのはスマホアプリ版(Android版)です

いつもはPCゲームの記事を書いている当サイトがなぜスマホアプリ版を取り上げるかというと、人気深夜ラジオ番組「伊集院光 深夜の馬鹿力」で本作に言及があったことから開発元のカイロソフトが10月8日から24時間無料配布を行っていたためです。

本記事はスマホアプリ版(Android版)について書いた記事ではありますが、Steam版もストアページを見た限りではスマホ版と同じであるようなので、Steam版の参考にもなるはずです。

当サイトでよく取り上げるパラドゲーのように、膨大なデータを使った大規模なシミュレーションゲームではなく、コンパクトでシンプルなゲームです。とはいえ、かわいらしい見た目から感じられるほどライトなゲームというわけでもなく、手軽に楽しく遊びたいというプレイヤーからある程度は効率を突き詰めて遊びたいというプレイヤーまで、幅広いプレイヤー層が楽しめるゲームになっていると感じました。

ゲームの流れ

本作ではオフィスははじめから与えられており、そこに社員を雇って自社ゲームを開発・販売するか、受注開発を請け負って資金を稼ぎ、稼いだ資金を使って社員教育やゲームハードのライセンス取得、そして次の自社ゲームの開発などを行っていくというのが基本的な流れです。

ゲーム内にも遊び方の説明がありますが、29ページとちょっと長いですし、読まなくてもなんとか遊べてしまうように作られているので、とりあえず手をつけたいという方は流し読みするくらいで始めてしまってもいいでしょう。ただ、ちゃんと読めば本作のゲームシステム全体がおおむね理解できるように書かれていますし、効率的に遊びたいというプレイヤーはしっかり読み込んでもいいでしょう。

ゲームの開発

本作の中核となるゲームの開発は、新規企画書の内容を決めるところから始まります。企画書ではゲームのハードウェア、ジャンル、内容、開発方針の4つを決めます。

ゲームハードはどのゲーム機向けにそのゲームを開発するかというもので、選択するには最初に多額の資金を支払ってライセンス契約を結ぶ必要があります。ゲームハードには出荷台数が設定されており、そのハードで発売するゲームの販売本数はハードの出荷台数に影響を受けるため、できるだけ出荷台数の多いハードでゲームを開発したいと思うでしょうが、そうしたハードはライセンス契約料が高くつきます。また、ゲームハードは発売から年数が経過すると販売が終了し、そのハードに向けたゲーム開発が行えなくなります。

ジャンル内容はそれがどういうゲームであるかを決めるもので、この2つの組み合わせにはうまくいくもの(例えば上の画像にある「シミュレーション」と「恋愛」の組み合わせは「傑作」)や独創的なもの、うまくいかないものなどの相性が設定されています。ジャンルと内容は非常に多くの種類があり、この組み合わせの相性を探っていくのも本作の楽しみのひとつと言えるかもしれません。自分で探るのが面倒だというプレイヤーはWikiに相性の一覧表が掲載されていますので、こちらを参考にするとよいでしょう。

開発方針では通常の開発のほかに開発速度・クオリティ・研究(詳しくは後述)のいずれかを重視するか、開発速度とクオリティ両方を重視する方針を選択でき、重視するものに応じて開発費が加算されます。

続いてゲームの方向性ポイントを割り振り、最後に企画担当者を決めれば実際の開発がスタートします。

ゲームの方向性はジャンルや内容とマッチする方向性ポイントの振り方をすることで、ジャンルや内容のノウハウ(ジャンルや内容のレベル)が上昇することがあります。例えば、上の画像では「恋愛」に関するゲームを企画しているので、「可愛さ」に最大値のポイントを振っており、これによって「恋愛」のノウハウレベルが上昇します。ノウハウレベルが上昇することでより売れるようになるでしょうし、また割り振れる方向性ポイントが増えていきます。これ以外にも、方向性ポイントが会社のイメージとして蓄積されてファンの拡大に影響するとされていますが、詳しいことはよくわかりません。

企画担当者はシナリオライターをやったことがある社員か外部のライターに頼むことができ、主にゲームの面白さ(上の画像下段に表示されているゲームコントローラーのアイコン)を高めます。企画にはシナリオ値の高いキャラクターが適していますが、開発タイトル間で連続して同じキャラクターに企画を頼むとペナルティが付きます(上の画像右側の杏仁なみこのように、名前の横に「前回」と表示されているケース)。

企画が完了すると社員たちによるゲーム開発が始まります。ゲーム開発は画面下部の4つのアイコンでゲームの出来が表現され、数値が高いほど出来がよく売れるゲームになります。期待度・知名度は会社のファン数や宣伝広告によって増えます。最後に、サウンドのアイコン(トランペット)の下にある悪魔の顔のようなアイコンはゲームのバグで、ゲーム開発時に増加していき、ゲーム完成後のデバッグ時に減少していきます。

開発中には社員がゲームのいずれかの数値を高めることに挑戦したいと申し出てくることがあります(1タイトルあたり1回発生するようです)。挑戦は研究データポイント(フロッピーディスクのアイコン)を消費して成功率を高めることができ、成功するとゲームの数値が上昇します(失敗するとバグが増えます)。

研究データポイントは画面左上に表示されているもので、ゲーム開発を行っていく中で獲得できます。上の挑戦のほか、社員のレベルアップやアイテムの使用など、さまざまな場面で使用するポイントです。

開発が40%まで進むと、開発開始時に企画担当者を決めたのと同じようなことをキャラクターデザインについても行います。今回はグラフィック能力が高い者を選ぶ必要があり、主にゲームのグラフィック値が上昇します。

開発が80%まで進むと、同様にサウンド担当者を決めるイベントがあり、サウンド能力の高い者を選んでゲームのサウンド値を引き上げることになります。

開発が100%に到達し、デバッグですべてのバグを取り終わったら(デバッグが完了する前にも発売できますが)、いよいよゲームを発売します。このとき開発したゲームに自分でタイトル名をつけることができます。記事冒頭で本作が深夜ラジオで言及されたと書きましたが、言及した伊集院光氏はこのタイトルの名づけを楽しんでいたようです。

発売すると雑誌のレビューがあり、40点満点中32点以上を取ると殿堂入りとなり、続編を開発できるようになります。また、発売1週間後にはゲームチャートでの順位が知らされ、上位に入ることでそのゲームがより売れるようになります。

このようにしてゲームを開発し、それを販売して資金を稼ぎ、また次のゲーム開発へ……というのが、本作の基本的なゲームの流れです。

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社員

ゲーム開発にあたっては、社員の能力が重要です。雇用できる社員は最初のオフィスで4名、最大のオフィスで8名までなので、お金をかけて優れた社員を雇うのも大切ですが、社員を教育したりレベルアップさせたりして能力を伸ばすこともできます。また、社員の教育やレベルアップには、実施時に開発できるゲームのジャンルや内容が増えるという効果もあります。

社員を教育するにはお金と社員の体力(POWER)が必要です。社員の体力はゼロになると社員が帰宅することで回復します。

レベルアップでは、研究データポイントを使用して社員の職業レベルを上げることができます。職業レベルが上昇することで社員の能力値も上昇しますが、同時に年俸も20%上昇します。レベルアップのたびに20%上昇していくので、最初は年俸300万だった社員がいつの間にか1億円プレイヤーになっていたということも起こり得ます。

教育とレベルアップで社員の能力値を高められるのは確かですが、教育を何度も行うのにはやはりお金がかかりますし、レベルアップで能力を高めると年俸が上がっていくので、私がプレイした限りでは最初から高い能力を持つ社員を雇っていく(能力の低い社員と入れ替えていく)のが早道かつ安上がりであるように感じています。ゲームとはいえ世知辛いですね……。

プレイ感

シンプルなゲームなのでできることが多いわけではありませんが、手軽にゲーム会社経営を楽しめるという点ではとてもよくできたゲームです。スマホアプリということもあって通勤通学やちょっとできた暇な時間にちょっとだけ遊ぶというのに適していると思った一方で、効率を突き詰めて遊ぼうと思ったら意外と深みのあるゲームにもなっているという二面性を感じました。最初に書いたように、手軽に楽しく遊びたいというプレイヤーからある程度効率を突き詰めて遊びたいというプレイヤーまで、幅広いプレイヤー層が楽しめるゲームになっていると思います。

いいところ

第一に、シンプルなゲームなのでやることがわかりやすいという点が挙げられます。ゲームの遊び方を読まなくてもよほどひどい経営をしなければ会社は倒産しませんし、次にどうすればいいかは自然に、あるいは都度出てくるゲームの説明を読めばなんとなくわかるようになっており、ゲームを理解するまでのハードルがとても低いゲームだと感じました。

第二に、全体としてゲームバランスがとてもよくできています。1点目でも少し触れましたが、よほどひどい経営をしなければ会社は倒産しませんし、倒産寸前から立ち直ることも簡単な一方、プレイヤーがゲームに慣れてうまくやり始めるであろうタイミングで登場するゲームハードはライセンス契約料が非常に高く、一気に資金を消費させるようになっているなど、シミュレーションゲーム全般で非常に多い中盤以降の中だるみを感じにくい作りになっています。

第三に、中だるみということに関連して、プレイヤーに常に「新型ハードとライセンス契約する」という目先の目標を示してくれることも、中だるみを感じにくくしているように思いました。しかしそれも「常に最新ハードと契約していればよい」というわけではない(中盤あたりですぐに販売が終了してしまうハードも出てくる)というケースもあり、プレイヤーにいわゆる「脳死」でプレイさせるような状態にならないというのも、うまく楽しませてくれるなと感じました。

悪いところ

正直なところ思いつきません。もちろんもっと複雑で深みのあるゲームシステムなら……などと考えないわけではありませんが、それは本作の方向性ではないでしょうし、せっかくのわかりやすさや手軽さが失われてしまいそうにも思えます。

強いて言うなら、続編は殿堂入りするかどうかにかかわらず作らせてほしかったなと思いましたが、私が感じた不満らしい不満はそれくらいでしょうか。Android版は2010年発売と古いゲームだけあってそつなく作られており、完成度の高いゲームと感じました。

ただ、私は普段スマートフォン向けのゲームを遊ばないので、普段からスマホゲームをたくさん遊ぶというプレイヤーからは当然感じる不満点がもしかするとあるのかもしれません。


今年8月にはソフトウェア開発会社経営シミュレーション「Software Inc.」のレビュー記事を書きましたが、「Software Inc.」と本作は同じようなテーマで真逆の方向性に向かっているゲームであるにもかかわらず、どちらもそれぞれ面白いゲームに仕上がっているというのが興味深いなと感じました。

私は少し遊んだ後にレビュー記事を書こうと思い、Wikiの情報も適宜参考にしながらプレイを進めましたが、最初の1回目は特にジャンルと内容の相性などの詳しい攻略情報は見ずにプレイし、2回目以降でそうした情報を見て遊べばよかったなと少し後悔しました。これからプレイをし始めようという方は(もちろん好みやプレイ方針にもよりますが)そのあたりもちょっと気にしてみると、本作をより楽しく遊べるかもしれません。

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コメント

  1. これまた懐かしいゲームを……
    携帯アプリで遊んだことがあったはずですが、当時の自分はシミュレーションゲームなんてよくわかってなかったのでひたすら旧ハードでスノーボードだったかのゲームのナンバリングをひたすら増やし続けた記憶があります
    旧ハードのスポーツ・ゲームが10を超えて発売しヒット(したのでしょうね続編出せたのですから)するあの世界のゲーム産業は一体どうなったのか今でもたまに思い出します。このゲームだったかぁ

    • 携帯電話版が2008年リリースですから、書いていただいたように本作について思い出がおありの方も多いかもしれませんね。
      私は今回初めてプレイしたのですが、ゲームとしては今でもしっかり楽しく遊べましたし、完成度が高くてすごいゲームだなと思わされました。

  2. 20年数年前、このゲームの前作であるところの発展途上国2DXやらまんが奥の細道やら本屋物語をとにかくずっと遊んでた。
    当時雑誌とかベクターとかでいろんなフリーゲームを探して遊んでたけど、カイロソフトくらいどのゲームも楽しいって所はそうそうなくて見つけたときは大興奮だった。
    ガラケー時代は遊べる機種じゃなくて一時期離れたりもしたけど、当時から遊んでる人間としては勝手に親近感湧いて後方腕組み古参ズラしちゃう。
    あとそろそろ要素追加した発展国の続編出てもいいのよカイロソフトさん。

  3. 元は個人でフリゲを作っていたのが賞を取り商業化を打診され、さらに自ら会社を立ち上げ多くの作品を世に出し、ついには世界的有名漫画の記念作品まで手掛けるようになる
    カイロくんって地味に立志伝中の人みたいな経歴してるよね

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