HoI4の生産の最適化を考える その3

前回の実証実験で考えた式が正しいらしいということが確認できたので、今回は産業技術の「流動的ライン生産」と「流れ作業工程」を比較してみます。今回はきちんとした結論にたどり着けました。

前回:HoI4の生産の最適化を考える その2


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概要

前回、HoI4の生産について以下の式が正しいらしいということが、実際のゲーム中の動作での実験で確認できました。

今回はこの式を使って、産業技術の「流動的ライン生産」と「流れ作業工程」を比較し、どういう場合にどちらがより効率的なのかを考えます。

生産効率の上昇を加味する場合、期間(T)の間の総生産出力(P)は、基本出力(p)、出力補正(m)、生産効率上限(\bar{e})、初期生産効率(e)、生産効率上昇率(i)としたとき、生産効率が上限に達する期間t

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i} \]

として、

\[ P = \begin{cases} pmT(e+\frac{i(T-1)}{2}) & (1\leqq T\leqq t) \\ pm\left\{\bar{e}T-\frac{1}{2i}(\bar{e}-e)^2\right\} & (t\leqq T) \end{cases} \]

今回の結論

おそらく「流動的ライン生産」のほうが有利な場合が多そうです。「流れ作業工程」が有利になるのは、軍需工場を大量に新しく獲得する、生産ラインを何度もこまめに切り替えるというような場合です。

詳しく

そもそもどういう効果があるの?

まずは2つの技術がどういう効果を持っているのか、詳しく見てみましょう。

流動的ライン生産

「流動的ライン生産」は生産ラインを切り替える際の生産効率減少率が半分になるという効果があります。基本的には英語Wikiの生産のページにある減少率が半分になると考えてよさそうです。

  • -10%:同じモデルの派生型への切り替え(例:III号戦車F型→III号戦車G型)
  • -50%:同じタイプのアップグレードでの切り替え(例:III号戦車→IV号戦車)
  • -70%:同じシャーシや機体フレームでの切り替え(例:III号戦車→III号突撃砲)
  • -80%:同じarchetype(戦車・航空機などのことか?)での切り替え(例:IV号戦車→ティーガー)

生産物をまったく違うもの(例えば戦車→歩兵装備)に切り替える場合は「一旦ラインが廃止(つまり生産性が-100%)され、その後新規生産ラインとして初期生産効率の10%が付与される」という動作をするようです。

したがって、「流動的ライン生産」を持っていて切り替え前の生産性が100%の場合、「生産性減少は半分なので-50%され、既に50%の生産性があるため初期生産効率10%は付与されず、切り替え後は50%となる」という挙動になります。

流れ作業工程

「流れ作業工程」は生産効率上昇率を25%上昇させる効果があります。デフォルトでは1日あたり0.25%ずつの上昇ですが、「流れ作業工程」によって0.25%×125%=0.3125%ずつの上昇となります。

生産効率上昇率(画像一番上の行)はなぜか週(7日)ごとの表示なので2.1%となっていますが、0.3125%×7日=2.1875%なので、おそらくこの捉え方で合っているはずです。

この表示方法、単にゲーム中で推測するとしても使いづらいと思いますし、細かいところがズレているので、設定されているとおりの数値を1日あたりのものとして表示してもらいたいところです……。

比較

では、この2つの技術はどういうときにどちらが効率的なのか、いろいろと検討してみましょう。

まず、それぞれのケースで式がどうなるのかを考えてみます。なお、この技術は生産効率上限が100%になった後に取れる技術なので、以下では生産効率上限は100%として考えることにします。

例1:生産効率100%の生産ラインをまったく別の装備の生産に切り替えて30日生産

まったく別の装備の生産に切り替えると、上で述べたように生産効率は通常では一旦-100%され、初期生産効率10%が付与されます。ただ、「流動的ライン生産」を取っていれば生産効率の現象が半分になるため、生産効率は-50%され、初期生産効率10%は付与されません。

こうした条件でそれぞれ総生産出力はどうなるのかを考えてみます。

生産効率上限に達する期間

生産効率が上限に達する期間tは、まず「流動的ライン生産」の場合は切り替え後に生産効率が50%になるので、

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i}=\frac{0.5}{0.0025}=200 \]

「流れ作業工程」の場合は切り替え後に生産効率が10%になるので、

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i}=\frac{0.9}{0.003125}=288 \]

生産効率上限に達するのは「流れ作業工程」のほうが早いかと思いきや、やはり40%の差は大きいようですね。

総生産出力

期間(T=30)の間の総生産出力(P)は、まず「流動的ライン生産」の場合、

\[ P = pmT(e+\frac{i(T-1)}{2})=5m\times 30(0.5+\frac{0.0025\times 29}{2})=80.4375m \]

「流れ作業工程」の場合は、

\[ P = pmT(e+\frac{i(T-1)}{2})=5m\times 30(0.1+\frac{0.003125\times 29}{2})=21.796875m \]

残ったmは出力補正です。こうしてみると「流れ作業工程」はおよそ4倍差と、ずいぶん水を開けられています。初期生産効率が違うとかなり影響があるようです。

生産効率が上限に達する期間tの時点でそもそも「流れ作業工程」のほうが遅いので、期間をtより長くとっても軍配は「流動的ライン生産」に上がることがわかります。

例2:生産効率100%の生産ラインを同モデルの派生型の生産に切り替えて30日生産

次に、生産効率のドローダウンが小さい同モデルの派生型を生産する場合について考えてみましょう。上で英語版Wikiから引用したように、同モデルの派生型に切り替えた場合の生産効率は通常-10%です。こっちなら「流れ作業工程」が勝てるかも……。

生産効率上限に達する期間

生産効率が上限に達する期間tは、まず「流動的ライン生産」の場合は切り替え後に生産効率が95%になるので、

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i}=\frac{0.05}{0.0025}=20 \]

「流れ作業工程」の場合は切り替え後に生産効率が90%になるので、

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i}=\frac{0.1}{0.003125}=32 \]

意外にも生産効率の減少が小さい場合でもやはり「流動的ライン生産」のほうが有利か。

総生産出力

期間(T=30)の間の総生産出力(P)は、まず「流動的ライン生産」の場合、20=t<T=30なので、

\[ P = pm\left\{\bar{e}T-\frac{1}{2i}(\bar{e}-e)^2\right\}=5m\left\{1\times 30-\frac{1}{0.005}(0.05)^2\right\}=147.5m \]

「流れ作業工程」の場合は、32=t>T=30なので、

\[ P = pmT(e+\frac{i(T-1)}{2})=5m\times 30(0.9+\frac{0.003125\times 29}{2})=141.796875m \]

残ったmは出力補正です。差はだいぶ縮まりましたが、やはり「流動的ライン生産」のほうが有利なようです。この場合も生産効率が上限に達する期間tは「流動的ライン生産」のほうが短かったため、生産期間を伸ばしても「流れ作業工程」が有利になることはありません。

例3:新たに軍需工場を獲得して30日生産(2016/12/29追記)

新たに軍需工場を獲得した場合は、どちらの場合でも生産効率は10%からスタートしますので、この場合は「流れ作業工程」のほうが有利ですが、どれくらい有利なのかを計算してみましょう。

新たに軍需工場を獲得する他、新規の生産ラインを立ち上げる場合などでも10%でスタートするようです。

生産効率上限に達する期間

生産効率が上限に達する期間tは、どちらも10%からスタートなので、まず「流動的ライン生産」の場合は

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i}=\frac{0.9}{0.0025}=360 \]

「流れ作業工程」の場合は

\[ t = \frac{\bar{e}-e}{i}=\frac{0.9}{0.003125}=288 \]

「流動的ライン生産」だと生産効率が最大になるまでおよそ1年かかる一方、「流れ作業工程」は2割短い期間で最大となります。

総生産出力

期間(T=30)の間の総生産出力(P)は、まず「流動的ライン生産」の場合、

\[ P = pmT(e+\frac{i(T-1)}{2})=5m\times 30(0.1+\frac{0.0025\times 29}{2})=20.4375m \]

「流れ作業工程」の場合は、

\[ P = pmT(e+\frac{i(T-1)}{2})=5m\times 30(0.1+\frac{0.003125\times 29}{2})=21.796875m \]

残ったmは出力補正です。確かに「流れ作業工程」のほうが有利ですが、その優位は非常に小さいもののようです。300日と設定するともっと差は拡大しますが、「流動的ライン生産」は710.625m、「流れ作業工程」は850.78125mとなり、差はおよそ140m。これを多いと見るか、少ないと見るか……。

結論

上記の結果から見ると、現状の設定ではおそらく「流れ作業工程」が有利である場面は限られるようです。「流動的ライン生産」のほうが有利な場合が多いように思います。

2016/12/29追記:コメントにて、切り替えではなく軍需工場を新たに獲得する場合は「流動的ライン生産」の減少率の半減効果は効かず、どちらの場合でも10%からスタートするということをご指摘いただきました。この場合は単に生産効率上昇率が大きいほうが有利なので、「流れ作業工程」が有利ということになります。これに合わせて記事の各所を訂正しました。ご指摘いただき、ありがとうございました。


今回はきちんと狙い通りのゴールにたどり着けて安心しました……。

次回:HoI4の生産の最適化を考える その4

『HoI4の生産の最適化を考える その3』へのコメント

  1. 名前:匿名 投稿日:2016/12/29(木) 03:02:36 ID:436a3d486

    切り替えではなく、新たに工場を建てたり奪ったりしてラインを開始する場合は10%からのスタートなので、流れ作業工程のほうが有利になるシチュエーションもありますよ。

  2. 名前:管理人 投稿日:2016/12/29(木) 10:46:15 ID:389d5174a

    確認しました。あとはこまめに切り替えて生産効率が下がった状態が多くなったりすると、「流れ作業工程」のほうが有利になるようですね。
    ご指摘ありがとうございます。記事を訂正しました。